【東沢バラ公園】山に住むサメ⁉田舎の山に広がる公園で飼われていたチョウザメ
2025/02/27 ※このサイトには広告が含まれます カテゴリー: 公園

山形県村山市の山間に広がる東沢(ひがしざわ)バラ公園には、約30年前サメがいました。「チョウザメ」といって、名前にサメがついていますがサメの仲間ではありません。村山市の特産品とするべく東沢バラ公園内でチョウザメの試験飼育をしていました。残念ながら、当時の様子を残すものは残っていませんが、現在の様子を写真に収めてきましたのでご覧ください。
東沢バラ公園って?

東沢バラ公園とは山形県村山市の山間に広がる、約7ヘクタール(東京ドーム約1.5個分の広さ)に2万株のバラが咲き誇る日本有数の公園です。
全国のバラ園で唯一、環境省から「かおり風景100選」の認定を受けています

毎年6月と9月のバラの最盛期にはバラまつりが開催され、咲き誇るバラとともにさまざまなイベントを楽しむことができます♪
ただしこれまでの画像は春~秋までの姿…。
現在2月の姿がこちら。


かろうじて車道は除雪がされているので進むことができますが(東沢ため池の手前まで)、バラ園内の方には足を踏み入れることはできません。

チョウザメとは

みなさんはチョウザメを見たことはありますか?
私は実物を見たことはありません。
というのも、日本では自然環境に生息しておらず、水族館か、養殖場等に出向かないと見ることができない、あまり身近にはいない生物だからです。
自然環境では、北アメリカやロシアで多く見ることができるそうです。

チョウザメは、淡水域~海水域に生息する大型の淡水魚で、チョウザメ目に分類される硬骨魚類(一般の魚と同じ仲間)です。
一方、サメは海に棲む海水魚で軟骨魚類ですので、チョウザメとサメはまったく違う生物です。
名前に”サメ”とついていますが、これは外見がサメに似ていることと、ウロコが蝶に似ていることから”蝶鮫”と呼ばれているためです。
チョウザメは歯もなく、おっとりした性格なので人を襲うこともありません。
その姿は3億年以上も前からほとんど変わっていない古代魚で、生きた化石とも呼ばれています。
平均的なサイズは1m~3.5m、平均寿命は50~60年ですが、150年生きて体長5m、体重1.5tにもなったとされるチョウザメもいたとか!

チョウザメの卵は高級食材の”キャビア”といわれ、世界三大珍味の一つとして有名です。
チョウザメは28種類おり、東沢バラ公園にいたのは「ベステル」という種類でした。
公園のどこにいたの?
そもそも村山市とは山形県のほぼ中央に位置し、東西を山脈に囲まれた盆地です。海から90㎞離れており、車でも海に出るまで2時間かかります。そのうえ、東沢バラ公園は、街中から山に向かって少し上った場所にありますので、山間に位置します。

写真の中央、木々の切れ間に遠く見えるのが村山市内です。
そんな山に囲まれた場所で、約30年前、自然環境で生育できるのかの実験と後に村山市の特産品とするべく主に東沢バラ公園内の2箇所(+1箇所)でチョウザメの飼育が始まりました。

①「東沢(ひがしざわ)ため池」
東沢バラ公園内には灌漑用のため池が3箇所あり、そのうちの一つ「東沢ため池」がメインの飼育場所でした。
東沢ため池は広さが6.5ヘクタール、水深10メートル、水温は底で16度と、チョウザメ飼育には問題のない環境です。
灌漑の目的で作られたため池ですが、後述の某有名釣りマンガでは「ちょいとしたダム湖」といわれる程の規模の大きさのため池です。
多い時で200匹以上が放流されており、もちろんこの池での釣りは禁止されていました。


2月の東沢ため池の様子
雪に邪魔されて見づらいですが、かなりの大きさがあります。
②「チョウザメ観察池」
公園の南側から道沿いに進み、北入口側からバラエリアに入るちょうどその位置に「チョウザメ観察池」がありました。大きさは4メートル×9メートル、水深は約90センチの生け簀に50匹が放流されていました。
現在は跡形もなくなっています。

そのゲートをくぐった先が下の写真です。

雪に埋もれているこのあたりにかつて「チョウザメ観察池」はありました。
「萬年池(まんねんいけ)」

「チョウザメ観察池」があった場所の北側にある小さな池が「萬年池」です。
ここはメインとして使用されていたわけではなく、東沢ため池に放流されたもの以外に、予備として運ばれた数匹が放流されるなど、サブで使用されていた場所です。
なぜチョウザメを飼うことになったの?
きっかけは、市内の住民が自宅の池で観賞用にシロチョウザメとコチョウザメを飼っており、飼育がそう難しくないとわかったことからだそうです。
飼育の始まりから終わりまで
国内初の自然の池で育ったチョウザメからのキャビア生産を夢見て、飼育実験が始まりました。
平成2年10月
東沢ため池に50匹が放流。
平成3年5月
チョウザメ観察池が完成し、昨年の50匹の他に予備として取り寄せた3匹を萬年池に放流しており、その中で生き残っていた1匹を放流。
平成4年5月
東沢ため池とチョウザメ観察池にそれぞれ50匹ずつ放流。
平成6年6月
東沢ため池に250匹放流。
平成10年までの間に約800匹近くが放流されました。
ーーーが、しかし、自然環境での飼育はそう簡単にはいかなかったようで、徐々にその数は減っていきました。
平成13年に東沢バラ公園をリニューアルする工事の計画が立った段階では「観察池」の表記も消え、現在の形の東沢バラ公園が平成14年にリニューアルオープンし、いつの間にかチョウザメの話題も消えてしまいました。
なぜ消えたのか?
低温できれいな淡水が安定的に必要なチョウザメには、ため池という性質上、水の動きが鈍り水質が悪化したり、夏場は水不足になったり、寒暖差の激しい水温は適さなかったようだと村山市では見ているそうです。
チョウザメを食べることができた施設

チョウザメの身の味は淡白で、食感はフグのようだそう。
東沢バラ公園の隣には、「レイクタウン東沢」という温泉施設があり、そこではチョウザメ料理が平成7年から提供されていました。キャビアはもちろんのこと、身の方の料理もあり、しゃぶしゃぶやからあげ、鍋などのほかに1万円のコースメニューも提供されており、和洋中さまざまな調理方法で食べることができたそうです。
実際に食べたことのある人の感想は「からあげはとてもおいしかった」とのこと。
料理に使われるチョウザメは、岩手県から仕入れたものを使っており、いつか東沢バラ公園で飼育された地元産のチョウザメを使った料理を提供できることを目指していました。
ーーーが、それが実現されることはなく…。
施設も閉鎖になり、現在は跡地に老人ホームが建っています。


余談ですが、レイクランド東沢にはチョウザメをモチーフにしたイメージキャラクターがいました。
リボンをつけた女の子のチョウザメ「チョッちゃん」、男の子のチョウザメ「メッくん」です。
名前は一般公募し、市民の応募の中から決定されました。
マンガ「釣りキチ三平」にも登場!

マンガ『釣りキチ三平 平成版(4)赤沢堤の主 著:矢口高雄(講談社)』は、この東沢ため池とチョウザメをモデルに描かれている一冊です。
ため池で生き続けていたチョウザメを釣るために主人公の三平くんが挑戦するというあらすじです。
あり得ないとは言い切れない設定で、まだひっそりと生き続けている個体がいると思うとロマンがありますね。
一冊にまとまっており、とても読み応えがあって面白いので機会があればぜひ一読してみてください!
東沢バラ公園の楽しみ方

チョウザメを見ることはできませんが、東沢バラ公園でのお楽しみポイントはたくさんあります♪
・750種類2万株のバラに囲まれることができます!
・6月と9月のバラ最盛期にはバラまつりが開催され、さまざまなイベントを楽しむことができます!
・東沢ため池でスワンボートに乗ることができます!(春~夏頃営業)
・バラ交流館(11月~3月冬期休業)ではバラアイスやバラパフェなど、バラを使った料理を食べることができます!メニュー等詳細は村山市観光物産協会HP をチェック!
ほかにも、ターザンロープやすべり台などこどもが遊べる遊具があったり、広い芝生の広場があったり、登山しなくてもお手軽に滝を見れたり、個人でも家族でも楽しめるポイントはいっぱい!
園内にベンチやトイレ、自販機、屋根があるスペースもあるのでゆったり過ごすことができます。
まとめ
山形県村山市の東沢バラ公園には、市の特産品とするべく約30年前チョウザメが飼われていました。しかし自然環境ではうまく生育することができずに断念。今やその面影は何も残っていません。
現在は、施設も看板の名残など何も残っていませんし、Web上にもほとんど写真記録はありません。ですが、過去の新聞記事や村山市役所の商工観光課には記録が残っていますので、もし興味を持たれた方は話を聞いてみたり、現在の東沢バラ公園を訪れてゆったり楽しみながら過去の情景を思い浮かべてみたりするのはいかがでしょうか。
東沢バラ公園への行き方
東沢バラ公園は、村山駅東口を出て目の前の山に向かってまっすぐ進むとあります。
便利な方法として、駅から乗れるレンタサイクル(冬期間休業)や500円で利用できるワンコインタクシーを利用する手もあります。
※レンタサイクル・ワンコインタクシーの詳細は村山市観光物産協会HP をチェックしてください。
無料駐車場も敷地内にありますので、車での来園も大丈夫です。
東沢バラ公園 | |
住所 | 山形県村山市楯岡東沢1番25号 |
電話番号 | 0237-53-5655 |
営業時間 | 午前9時~午後5時 |
定休日 | バラ交流館・売店:水曜定休(バラまつり期間中は無休)※11月から3月まで冬季休業 |
料金 | バラまつり期間以外は無料 バラまつり期間:大人600円・小中学生300円 |
ホームページ | 東沢バラ公園 |
訪問日 | 2025.02 |
村山市役所 | |
住所 | 山形県村山市中央1丁目3-6 |
電話番号 | 0237-55-2111 |
営業時間 | 平日 午前8時30分~午後5時15分 |