瓶のパインサイダーは今飲めるのか?|山形のソウルドリンク
2025/03/03 ※このサイトには広告が含まれます カテゴリー: ローカル

山形のご当地サイダーと言えば、おなじみ「パインサイダー」
全国放送のテレビ番組でも取り上げられ、ネット通販で一時完売するほど人気になった商品です。もちろん県内のスーパーでも手軽に購入できます。
しかーし!!
昭和生まれの山形県民なら、
・キズだらけの瓶(他のサイダーの空き瓶をリユース)
・結露ではがれかかったラベル
・町の商店や駄菓子屋の店先で、栓抜きを借りて開ける
・飲み終わった空き瓶をおばちゃんに返す
なんて思い出が蘇ることもあるのではないでしょうか?(歳がバレる)
(当時は80円前後で購入できた気がします。)
そして今、瓶のパインサイダーを販売しているところはあるのでしょうか?
そもそもパインサイダーとは?

強い炭酸の刺激の中に華やかなパイナップルの香りが特徴の、昔から飲まれている山形県民のソウルドリンクです。
山形県ではパイナップルが手に入りにくかったため、県花である「紅花」の色素で着色し、パイン感を出したそうです。
そのため、実は無果汁!!
ちなみに【原材料】は
果糖ぶどう糖液糖、砂糖、酸味料、香料、紅花色素など。
でもなぜか山形県内では昔から愛飲されているサイダーなんです。
お盆や正月など親戚での集まりがある時は、大人はビール、子どもたちのジュースはいつも「パインサイダー」が私の家では定番でした。
ご家庭によっては、お客さんが来た時にふるまったりもしています。
ケース単位で買い置きしているご家庭も多かったのでは?
なぜ山形でパイン?パインサイダーが広まった理由
考えられる理由として、以下の点が挙げられます。
1. 清涼飲料水ブームと炭酸飲料の人気
昭和中期(1950~70年代)は、日本で清涼飲料水の市場が急拡大した時代です。戦後の復興とともに生活が豊かになり、特に炭酸飲料が人気を集めました。コーラやラムネなどの炭酸飲料が流行する中で、果物フレーバーの炭酸飲料も次々と登場しました。
2. 南国フルーツの流行
昭和30~40年代(1950~60年代)には、パイナップルやバナナといった南国フルーツが日本で人気を博しました。沖縄や台湾からの輸入が増えたこともあり、パイナップルを使ったジュースや缶詰が広まりました。
3. ラムネ文化との親和性
昭和時代には、ラムネが夏の風物詩として親しまれていました。パインサイダーは、ラムネと同じく甘くて爽やかな炭酸飲料であり、特に子どもや若者に人気があったと考えられます。
4. 瓶入り炭酸飲料の需要
昭和時代には、ガラス瓶入りの炭酸飲料が主流でした。駄菓子屋や商店で手軽に購入でき、学校帰りの子どもたちや家族の団らんの場で楽しまれました。

火垂るの墓の監督、高畑勲氏の作品で、山形県山形市高瀬地区を舞台にした、
ジブリ作品「おもひでぽろぽろ」にもこんなワンシーンがあります。
タエ子のお父さんが丸ごと買ってきて、初めて食べるというシーン。
昔はパインを丸ごと食べることもなく、切り方も分からず完熟していない状態で口にして、あまり美味しくないというものでした。

シロップ漬けの缶詰を先に食べていたからなのか、がっかりしたタエ子や家族の顔がなんともいえない表情でしたね。
一般の人には、パイナップルは缶詰でしかほとんど知られていない時代。
生のパイナップルは高級品で珍しかったこともあり、そんな中そのパイン風味のサイダーが、駄菓子屋や商店で手軽に購入できるという要因が重なり、パインサイダーもその中の一つとして定着していったのではと考えられます。
いつから販売されているのか?
発祥については諸説ありますが、
昭和30年代頃に発売され、南国のフルーツへの憧れから誕生したと言われています。
Kyoeiパインサイダーを販売していた、山形共栄さんのHPによると(現在HPは閉鎖)、

昭和25・26年頃の瓶サイダーはほとんどが無色透明でした。
そんな中、寒暖の差が大きい雪国山形地方でも、みんな春の芽吹きを心待ちに雪かきに精を出していました。
当時はフルーツ王国やまがたでも、パイナップルなどなかなか食べることができない憧れのフルーツの一つでした。
そこでなんとか南国の味と香りをサイダーにのせて、山形でも味わってもらい喜んでいただこうと、当組合の現理事長が開発に取り組んだのでした。『味の特徴』
パイン+シャンパンフレーバーの香りと強炭酸が爽やかなのどごしとクリアな味をひきだしています。引用: 協同組合 食品共栄会
シャンパンフレーバーをイメージしていたとは・・・!県民でも知らない人も多いのでは?
それが大ヒットし、令和の現在まで愛飲されているというのも感慨深いです。
当時のパインサイダー販売会社

かつて瓶のパインサイダーを製造していたのは、山形県内に数社ありました。
会社名 | 商品名 | 原材料 | 内容量 |
---|---|---|---|
志んこや(上山市) | コロナパイン | 砂糖、酸味料、香料、合成甘味料(サッカリンNa)、黄色4号 | 340ml |
荘内合同飲料(鶴岡市) | ニッシン・フルマークス・パイン | 糖類(砂糖・液糖)、酸味料、香料、甘味料(サッカリンNa)、着色料(黄4号)、パイン果汁入り | 340ml |
富士サイダー工場(山形市) | フジ・パインサイダー | 砂糖、酸味料、香料、黄色4号 | 340ml |
山形共栄(村山市) | Kyoeiパインサイダー | グラニュー糖、酸味料、食塩、シャンパン香料、着色料(黄4号) | 340ml |
五十嵐飲料(鶴岡市) | キンツルパインサイダー | 砂糖、酸味料、香料、黄色4号、食塩 | 340ml |
原材料もラベルから調べてみましたが、やはり会社によって違うようです。
ニッシンさんのはパイン果汁が入っていたんですね!無果汁ではなかった…!
しかし廃業したところや、工場が火事にあってしまったり、と残念ながらどの会社も現在は製造していないようです・・・。
そんな中、古い記事から村山市にある「丸大堀内株式会社」さんが、山形共栄さんの事業を引き継いだという情報をキャッチ。すがる思いで問い合わせてみました。
現在も瓶のパインサイダーは販売されているのか?
山形共栄の事業を引き継いだ「丸大堀内株式会社」に問い合わせたところ、
「5年ほど前に製造は終了しておりまして・・・」
とのこと。
また、三和缶詰株式会社や山形食品株式会社にも問い合わせてみましたが、
「瓶は割れやすいため、製造を終了してしまったようですね。」
との回答でした。
・・・最後の望みが~!!
2020年頃にはもう製造されていなかったようです。
かつては、300-500ml程度のビン入りで、「三ツ矢サイダー」や「宝サイダー」のビンが使われていましたが、今のビンはガラスが薄く、炭酸を入れると割れてしまうとのこと。
残念・・・。やはり瓶のパインサイダーを手に入れることはできないようです。
現在はスーパーなどでいつでも買える!

現在は缶のパインサイダーが主流です。
山形県内なら、スーパーやコンビニ、県内の道の駅などどこでも買えるのがうれしいですね!
県外の方はネットショップや、山形県アンテナショップ「おいしい山形プラザ」でも購入できます!
▶山形県アンテナショップ「おいしい山形プラザ」
東京都中央区銀座一丁目5-10 ギンザファーストファイブビル1F・2F

キラキラなデザインがオシャレな【サン&リブ】さんの山形パインサイダー。
▶山形パインサイダー 参考価格 143円(250ml)

現在はサクランボ・ラフランス・カキ・スイカサイダーなども販売!
■山形食品株式会社(サン&リブ)https://www.sunliv.jp/

パインサイダーマンも活躍中! Instagram
@pineapple.cider.man
▶やまがたパインサイダー 参考価格 151円(380ml)

県内スーパーでいつでも買える!
パインサイダーと金龍さんがタッグ!
▶大人のパインサイダー 参考価格 220円(380ml)
やわらか食感、やまがたパインサイダー入り
▶やまがたパインサイダーグミ 参考価格 500円(100g)
■三和缶詰株式会社 https://www.y-sanwa.co.jp/
どの商品もネットでの販売や、ふるさと納税の返礼品にもなっているようですので、気になった方はぜひ飲んでみてください!
夏場はキンキンに冷やして飲むとさらに美味しいですよ~!
大人の方は、お酒の割りものとしてもgood!
【まとめ】せっかくなので飲みながら
瓶入りパインサイダーがもう手に入らないのは残念ですが、復刻版が登場することを期待したいですね。
県内の企業様、ぜひご検討を!!
さて、雪おろしで疲れたので、雪の中でキンキンに冷えたパインサイダーでひと息いれたいと思います。
春を待ちながら飲むパインサイダーもうんめえぞっ!

山形食品株式会社(サン&リブ) | |
会社HP | https://www.sunliv.jp/ |
https://www.instagram.com/sunliv_official/ |
三和缶詰株式会社 | |
会社HP | https://www.y-sanwa.co.jp/ |
https://www.instagram.com/pineapple.cider.man/ |