【山形・東根市】ひっそり佇む「荷渡地蔵尊」〜1500年の歴史とご利益〜
2025/11/21 ※このサイトには広告が含まれます カテゴリー: 参拝
山形県東根市にある「荷渡地蔵尊(にわたしじぞうそん)」は、今からおよそ1500年前、荷物の受け渡しが盛んだった場所に建立されたと伝えられる由緒あるお地蔵様です。
かつては遠方からも多くの参拝者が訪れ、地域の人々の暮らしを長く見守ってきました。筆者自身も小学生の頃、遠足で先生からこの地蔵尊の歴史を聞いた記憶があり、地域に深く根付いた存在であることを実感します。
荷渡地蔵尊の由来

大昔、現在の最上川を中心とした一帯は湖で「藻が湖(もがうみ)」と呼ばれていました。
湖の東側を「ひがしね(東根)」、西側を「にしね(西根)」と呼び、東の山岸を通る道は当時の重要な交通路でした。
特に東根と楯岡の境界となるこの地は、荷物の受け渡しを行う要所。
交通の要衝であったことから、運搬作業の安全を祈願して建立されたのが「荷渡地蔵尊」だと伝えられています。
お堂の外壁には、奉納された無数の穴開き石が下がっています。
もうひとつの呼び名「幸神社」

昭和12年に出版された「家庭教化伝」には、荷渡地蔵尊は「幸神社(さいじんじゃ)」とも呼ばれ、猿田彦命を祀る神であると記されています。
祭事は毎年3月と6月の24日に行われていたそうです。
「幸の神(さいのかみ)」は「塞神(さえのかみ)」とも呼ばれ、村の境に立って悪霊や災厄の侵入を防ぐ神様。さらに縁結びや農耕、福神の性格も持ち、日本各地で多様な信仰が広がりました。荷渡地蔵尊もまた、そうした「境を守る神」として地域の人々に信仰されてきたのです。
猿田彦命とは?
猿田彦命(さるたひこのみこと)は、日本神話に登場する神で、天孫降臨の際に道案内を務めたとされています。
「古事記」では猿田毘古大神、「日本書紀」では猿田彦命と記され、導きの神・道開きの神として信仰を集めています。
天狗と外見や役割に共通点があり混同されることもありますが、「天狗」は伝説上の存在であり、「猿田彦命」は神話に登場する神様として区別されています。
病気平癒のご利益も
荷渡地蔵尊は、交通安全のほかにも病気平癒のご利益があると伝えられてきました。
特に昔は子どもの百日咳にご利益があるとされ、多くの親子が祈願に訪れたといいます。
時代が変わっても、病を癒し健康を願う人々の思いは今も変わりません。地域の人々の生活と共に、荷渡地蔵尊は静かに寄り添い続けています。
隣には山神社も

荷渡地蔵尊のすぐそばには「山神社」があります。
山の神を祀る社で、古くから農業や林業に従事する人々の信仰を集めてきました。緑に囲まれた静かな空間は、参拝する人の心を自然と穏やかにしてくれます。
地蔵尊と山神社をあわせて参拝することで、より一層のご利益を感じられるかもしれません。
| スポット名 | 荷渡地蔵尊(にわたしじぞうそん) |
|---|---|
| 電話番号 | – |
| 営業時間 | なし |
| 定休日 | なし |
| 住 所 | 〒999-3701 山形県東根市東根甲 |
| アクセス | JR東根駅から車で7分、または徒歩で37分 |
| 駐車場 | なし |
| 公式HP・SNS | なし |
まとめ
東根市にひっそりと佇む「荷渡地蔵尊」は、1500年もの歴史を持つ霊験あらたかなお地蔵様です。
交通安全や病気平癒、縁結びなど多彩なご利益を授けてくださるとされ、今もなお地域の人々に信仰されています。
駐車場はありませんが、近くに立ち寄る機会があれば、ぜひ一度足を運んでみてください。
長い時を経ても変わらず、訪れる人々を静かに見守り続けるその姿に、きっと心が和らぐはずです。
